桃雪 白夜の気まぐれブログ

我は厨二病女子、想像神Mなり!

アイデンティティプロテクション⑹

〜最終話、「おかえりなさい」〜


一向に目を覚まさないクラスメイトに、不安が募る一方であった
由紀が夢の中で真維に会ってから、その話をみんなにした
みんなで頑張って、真維ちゃんに戻ってきてもらおうよ、と、呼び掛けた

それから、クラスで、夢で真維に会った、と、証言する人が続出した
みんな口を揃えて言う
「真維は泣いて怯えていた」と

そして、ついに夢で真維に会っていないのは太亮と優だけになった
しかし、そう時が経たないうちに、2人の夢に真維が現れた
2人で同じ夢を見たのだ
「真維!」
「真維ちゃん!」
「…」
「…ねぇ、真維…どうしたの?なんで睨んでるの?」
「…」
「真維ちゃん、どうして怯えていたの?」
「…」
「真維!どうしたの!?なんで黙ってるの!?ねぇ!なんか喋ってよ!!」
「真維ちゃん!言わなきゃわかんないよ!」

「てめーらどの面下げて真維にそんな口きいてんだよ!!」
突然怒鳴り声があがり、現れた人物が2人を殴った
それは明らかに少年の姿をしていたが、2人にはすぐにわかった
「「真生…?」」
そう、真の姿をした真生だった
「てめーら、真維にいろいろ聞く前にまず言う事があるだろうがよ!そんな事もわかんねぇのかよ!」
「…」
「…」
「何黙ってんだよ!わかんねぇのかってきいてんだよ!」
「…わかるわけねぇだろ…言う事なんてねぇよ!」
「はぁ!?てめぇの頭は飾り物なのか!?ちゃんと機能するって言うんなら考えろ!真維がこんなに苦しんでるのは何が原因かをな!」
「原因…?」
「真維が現実から逃げたのはなんでだ!?真維が怯えていたのはなんでだ!?真維がっ…真維が…」
真生は少し押し黙って、静かな声で続けた
「真維が眠りについた時、お前らが流した涙はなんだったんだ…」
「「…!」」
暫く沈黙が続いて、真生が口を開いた
「わかったんなら、言ってやれよ」
そして太亮と優は、表情を変えない真維の前に立ち同時に言った

「「ごめんなさい…」」

そして頭を下げて、泣いた

「わかってくれたら、それでいい」
初めて真維が口を開いた
2人はその場にへたりこみ、泣き続けた
真維の表情は微笑みに変わっていた
「私の方こそ、ごめんなさい。私のせいで、太亮君はおかしくなっちゃったんだよね?優君はイライラしちゃうんだよね?」
2人がそれは違うと言おうとしても、真維は続けた
「私、これ以上迷惑かけたくないから、もう現実には戻らない。だからお別れだよ」
「えっ…」
「そ、そんなのやだよ!」
「戻っても、人が目の前で争うところ、見たくないし、それは私が原因だもん。私、いなかったら、2人は喧嘩しなくて済むもんね」

「じゃあね」

そして真維は後ろを向いて歩いっていった
真生は2人を見た
いいのか?と目で言っていた
太亮と優は目を合わせ、頷いた

「真維!」
「真維ちゃん!」

2人に呼ばれて真維が振り返ると…

太亮と優は握手をしていた

「俺たち、もう喧嘩しないよ!約束する!」
「ちゃんと仲直りするよ!絶対に!」

「「だから戻ってきて!」」

真維はふにゃっとした笑顔を向けた
その瞬間2人を白い光が包み込み、2人はそれぞれの家で目を覚ましていた

「真維」
「真生…」
「また会えたな」
「うん」
「真維、お前の能力の真の力はな、『人の潜在意識を覗く』だ。ただオーラが見えるだけじゃない。潜在意識と会話して、その人の心を見るんだ」
「え…」
「お前なら使いこなせる。役に立てるさ」
「…!」
「あっちでやる事があるんじゃないのか?」
「…うん!」
「頑張れ。疲れたら俺のところに来い。いつでもここで待ってるぞ」
「うん!ありがとう!」

すると真生は後ろを向き歩き始めた
「待って真生!」
真維に引き止められ、真生は振り返った
すると真維は、言いにくそうに言った

「ねぇ、真生。貴方は何者なの?」

すると真生は少し間をおいて、優しい声で言った

「生まれる事ができなかった、お前の双子の兄ちゃんだよ」

「…双子の…お兄ちゃん…?」

「母さんは確かに俺とお前を身ごもった。だけど、俺だけ流産になっちまって、生まれてこれなかったんだ。」
「そんな事が…」
「父さんと母さんは余りにもショックで、お前に話せなかったんだろう」
「…」
「守ってやれなくてごめんな」
そして真生は真維に近づき、頭をぽんぽんした
真維は真生に抱きついた
「お兄ちゃん」
「真生でいいよ。双子なんだし」
「大好き」
「あ…」

そして2人を白い光が包み込んだ

「私、行くね」
「おう」

「またね」
「またな」

………………………………………

視界には白い天井
懐かしい体の感覚

「真維ちゃん」

声の方に顔を向けると、由紀と知葉がいた
2人は笑っていた
そして、由紀が徐にベッドの仕切りのカーテンを開けた

そこには、クラスメイトが全員集合して、笑っていた

「「真維ちゃん」」

「「「「「「おかえりなさい!」」」」」」


真維はまたふにゃっと笑いながら

「ただいま!」

と言って、嬉し泣きをした

クラスメイトは真維を囲み、真維も含めて全員で笑っていた


真生も、潜在意識の中で、笑いながら

「大好きだぜ」

と、呟いた


〜完結〜


第5話→http://momo-yuki-haku-yo-ancmot-15.hatenablog.com/entry/2014/12/20/213336