桃雪 白夜の気まぐれブログ

我は厨二病女子、想像神Mなり!

アイデンティティプロテクション⑵

〜第二話「非日常=日常」〜


「俺の名前は『真生』だ」

そう言って2人の男の子を蔑みの眼差しで見詰める女の子の姿をした彼

その後口を開いたのは大亮だった
「どうしたのさ…ねぇ、どうしたの?真維でしょ?」
「何度も言わせんな。真維は死んだんだよ」
「冗談だよね?そうだよね?怖がらせてごめん…俺の事が怖いから、そんな事言ってるんだよね?」
そう言いながらふらふらと立ち上がり、彼の手を握ろうとした
「キモい触んな」
彼は大亮の手を振り払った
「なんで!?ねぇ!ごめんってば!」
「寄るなホモ!」
「ファッ!?」
「悪いけど俺そっちじゃねぇから」
「???」
優がようやく口を開いた
「なぁ…一応聞いていいか?」
「なんだ」
「俺らが誰だか、わかる?」
「なんでそんな事聞くんだよ」
「いや…一応」
「…明口優と木ノ下大亮。真維の同級生だろ」
「う、うん…」

「まぁ、とりあえず俺の事は『真生』って呼んでくれ。『真維』じゃ返事しねぇからな」
「「お、おぅ…」」
「じゃあ、俺帰るからな」
「わかった…」
「うん…」
そう言って、真生は買い物の荷物を持ってスタスタと公園を後にした
残された2人は途方に暮れたが、
「…あいつ、学校どうすんだろうな?」
「それな…」
とだけ言って、お互いの家へ帰って行った

次の日、優は殴りあってできた痣を気にしながらホームルームの教室に向かった
そして緊張気味にドアを開けると、予想外の光景を目の当たりにした

「すげぇ人だかりだうわぁw」
そこには男女に囲まれた真生がいた
少し困った様な顔をしながら、周りの子達の質問の受け答えをしていた
しかし、優に気付くと、そちらに顔を向け、挨拶のジェスチャーをした
「優君お早う…どうしたのその痣?」
「お早う。ちょっと、転んじゃってさ」
「大丈夫?気を付けてね」
「おぅ、ありがとう」
「そうそう聞いてくれよ!和門花さん性別変わったんだよ!な?みんな」
「そうなの!凄いよねぇ!」
「…え?え?」
優はクラスのみんなのテンションの高さに戸惑っていた
しかし、意外にもみんなの反応が明るく受け入れる感情だったので少し安心もしていた
今日のホームルームに大亮は来ていなかった
優は内心「ザマァw」と思いながら先生の話を聞いていた

「真維ちゃ…ちゃう。真生君、この後何か予定ある?」
クラスリーダーの女の子、「指原 由紀(さしはら ゆき)」が真生に話し掛ける
「あー…悪ぃ、この後病院行きだ」
「マジかー。わかった。じゃあ明日、あけといてもらえる?ちょっと課題の事で聞きたい事があるんだ」
「うぃ。じゃあ明日な」
「うん、また明日」
そして、真生は足早に教室を出て、家へ帰って行った
優はその後ろ姿を少し寂しげに見ていた

…………………………

解離性同一性障害、ですね」
精神科の先生に告げられたのはそれだった
俗に言う「多重人格」だが、その人格の中には性別が違うものもあるので、不思議な事ではない
「そうですか…」
真生と一緒に来ていたお母さんは、不安げに返事をした
「問題を起こさなければ大丈夫ですよ。今出ている真生さんを消して、真維さんを呼び戻す事が重要、という訳ではないですから。真生さんも、貴方が消える訳じゃないから安心してね」
「はい、ありがとうございました」
そうして診察を終えて、薬をもらい、2人は病院をあとにした
沈黙が続いたが、お母さんがそっと口を開いた
「何か、食べる?お菓子とか」
「あ、うん、ポテチ食いたい」
「わかった。買いに行こうか」
「おぅ」
ぎこちなくも親子の会話をし、近所のスーパーで買い物を終え、家に帰っておやつにした
(これからどうすればいいかな…)
お母さんの不安は募るばかりだが、一瞬見えた真生の微笑みに、真維の面影を感じ、深く悩むのはやめようと決め、夕食の準備に取り掛かった

〜第二話完結、第三話に続く〜

第三話→http://momo-yuki-haku-yo-ancmot-15.hatenablog.com/entry/2014/11/10/200127

第一話→http://momo-yuki-haku-yo-ancmot-15.hatenablog.com/entry/2014/10/28/090314