桃雪 白夜の気まぐれブログ

我は厨二病女子、想像神Mなり!

男と女、黒と白、昼と夜~黒昼過去物語~

僕は、孤独だ。

他人から見れば、僕は両親に愛されてるし、何人か友達もいるから、普通の男子に見えるんだろう。

それでも、僕は孤独。

何故なら、僕の理解者はいないから。


僕は、本当は「僕」じゃない。
「僕」じゃなくて、「私」のはずだったんだ…


物心ついた頃から疑問だった。
この身体は自分の本来の身体とは違う気がして。
親戚の人なんかは、「黒昼君は女の子みたいで可愛いねぇ」だなんて言ってたけど、お父さんは、「もっと男らしくしなさい」なんて、言ってたんだ。
納得できなかった。
どうして、私は「女の子みたい」で、「女の子」じゃないの?

私は、苦しかった…

様子がおかしいと、両親に病院に連れてってもらって、検査を受けた。

性同一性障害

身体と心の「性別」が違う病気。

両親も私も驚きを隠せない。

だけど、幼いうちから手術で身体の性別を変えるのは不可能だから、とりあえず、今はそのまま過ごす事になって。
両親は毎晩、私をこれからどうするか話し合っていたらしいけど、結局は「とりあえず男として育てる」事になったらしい。それでも、将来手術をして「女」になった時のためにって、お母さんがいろいろな事を教えてくれた。料理、洗濯、掃除、裁縫…
それが楽しくてしょうがなかった。

でも学校では虐められるだろうから、男の子のふりをしなさいって言われて、学校に入学した時から、「私」は「僕」のふりをした。

入学してから、僕に話し掛けてくれる子は沢山いた。それで、ちゃんと友達もできた。
でも、自分の悩みであるこの病気を知ってしまえば、きっと皆僕から離れていくんだろう…
僕の病気を知ってるのは、先生だけなんだよな…

入学して、初めての「テスト」。
僕は75点。
魔術の問題は難しいな…って思ってて、やっぱり友達もあんまりできなかったって、見せてくれた。僕より少し低かった。やっぱり難しいんだな…

教室の中に人だかりができていた。
なんだろう…?
僕は興味本意でその人だかりに入った。
100点!?
この女の子、クラスで唯一の満点だって…?
魔術の…テストで!?
「ねーねー、ぼくに勉強教えてよ!」
「あたしにも教えて!」
皆の憧れの的…
僕も教えてほしかったけど、結局、言い出せなかった。

あの子に、負けないように、僕も頑張ろう!

勉強と体力づくりは日課。
友達からは「お前は真面目だなぁw」なんて笑われたけど、僕もあの子みたいにテストでいい点を取りたかったから、欠かさなかった。
両親にも、認めてもらいたいし、ね。

あの子は、魔術に関しては物凄く成績優秀だった。
他の教科は、得意科目と苦手科目で凄く差が出てたみたいだけど、それでもテストは平均より上。

僕は、あの子に追い付きたかった。

あの子の事を考えると、ドキドキした。
僕の憧れ…
白夜と書いて、「はくよ」ちゃん、か…
双子の片割れの、極夜と書いて、「きょくよ」ちゃんは、普通の教科の成績がすごかった。
あの双子、何者?
でも僕には白夜ちゃんの方が輝いて見えた。
明るい性格のせい、かな。

なんでかな?
白夜ちゃんと、手を繋ぎたくなったり、一緒にお話しながらゴハン食べたりなんかしたいななんて思ったり。
あの子は「女の子」で、僕も本当は「女の子」。
僕が本当に「男の子」だったらなぁ…なんて、考えてた。

手を届かせたくて、毎日努力して、夏休みも毎日勉強した後に友達と遊んで体力をつけてた。
そのうち、僕は、「学年総合成績」のトップになった。
毎日の努力が報われたのね、なんてお母さんは誉めてくれた。毎日お疲れ様、ってお父さんは労ってくれた。

「黒昼君」
話し掛けられた。
「はっ…白夜ちゃん!?」
「どうしたの?」
「いや、別に…」
「凄いね!トップになるなんて!私は魔術は凄く得意で、魔力も凄く強い。けど、他の教科がいまいちなんだよね」
「はぁ…」
「黒昼君は文武両道だね!尊敬しちゃう!」
「ほ…本当?」
「勿論!」
「あ…ありがとう」
「えへへ…いつか、勉強、教えてね!私と極夜にさ!」
「うん!機会があったら教えてあげるよ!」
「ありがとう!」

そしてスキップしながらその場を離れた白夜ちゃん。
凄く、可愛い。

きっと、これが「恋」ってやつ、なんだろうな…

もし、将来手術をして本当に「女の子」になったなら、この「恋」は叶わなくなる。

それならば、僕は「僕」として、生きていこう…


「白夜ちゃん、どうしたの?元気無いよ?」
「うん…虐められたの…」
「ええっ!?」
「極夜も一緒に虐められて、今保健室」
「そんな…!」

白夜ちゃんと極夜ちゃんが虐め…?何故、そんな事を…

クラスの皆や先生達にこっそりと報告して、皆で双子を助けてた。
始めは、それが通用したのにね…
いつの間にか、虐めっ子の方が強くなって、怖くなった。
誰も助ける事ができなくなっちゃったんだ。

それでも、僕は白夜ちゃんの味方だからね…


中学生になっても、状況は変わらない。
僕が学年総合成績トップである事、白夜ちゃんが魔術の成績がトップである事、極夜ちゃんが勉学の成績がトップである事、そして、双子が虐めを受けている事。

夏の暑さがまだ残る秋。
体育の授業中に、クラスメイトが倒れた。
熱中症にやられちゃったのかな?
心配になったけど、病院で絶命したらしい。
その後も、何人か絶命する生徒が出た。全員「虐めっ子」だった。
だけど、村でも死人が出て、僕は怖くなった。
何故人々がどんどん絶命していくの…?
僕は夢中になって調べた。
病院の人達や警察の人達に話を聞いてまわった。
死人の死因は「悪魔の呪い」。
その人達の部屋や家から「悪の魔力」を発するお金が出てきた。
虐めっ子達が、悪魔からそのお金を受け取り、買い物をして、虐めっ子とお店の人達が悪魔の呪いで死んだ…
こういう事か!
学校でその事を皆に話した。
皆はほっと胸を撫で下ろしていた。

双子だけが、絶望したような顔をしていたのが、一瞬見えた。

次の日、双子は学校に来なかった。
まさか…あの子達も…?
すると、担任の先生が教室に入ってきて、重い口を開くように話した。

「極夜さんが、悪魔の呪いで、亡くなったそうです」

…え?
極夜ちゃんが…?

「白夜さんは、呪いは免れたのですが、精神的ショックが大きいので、暫く病院で休むそうです」

そんな…
白夜ちゃんにとって、一番の心の支えだった筈の極夜ちゃんが…


その時の僕に、彼女にしてあげられるような事は、なにも、思い付かなかった…


~続く…~